皆さん、こんにちは!
なごみにゅーす管理人のなごみです。
最近は全国各地で熊の被害が目立っており、心配な毎日です。
くれぐれも外出の際はお気を付けください。
…さて、本日は北海道の大自然にひっそりと暮らす、とある小さな動物のお話をしていきます。
「キィィィ!」
という独特な鳴き声が特徴的な、小さいけれど存在感抜群なのはエゾナキウサギ。
名前だけでもちょっとかわいくて、どことなく神秘的で気になる存在です。
研究者の中には、その可愛さに魅了して北海道に移住してしまう方もいるのだとか!
しかし、実はこのエゾナキウサギは絶滅の危機に瀕しているんです。
今回は、そんなエゾナキウサギの特徴や生態から絶滅の危機に瀕してしまった理由、そして「どう守っていけばよいのか?」というテーマまで、まるっと楽しくご紹介します!


・エゾナキウサギについて知りたい、調べたい人
・動物愛護に興味がある人
・絶滅危惧種や絶滅の危機に瀕している動物に対して、何ができるか考えたい人
エゾナキウサギってどんな動物?
まずはその正体から!
エゾナキウサギは、ナキウサギ属というグループに属する、小型の哺乳類。ウサギと名前についていますが、耳が小さくて丸っこい体をしていて、ちょっとネズミにも似ています。(耳が他のウサギと比較して短く丸いのが印象的な特徴ですね。)でもれっきとしたウサギの仲間なんです!
実はナキウサギの仲間は世界で30種類ほどいて、日本ではこのエゾナキウサギだけ。つまり、日本固有のかわいい小動物なんです!
厳密に言うとユーラシアに広く分布するキタナキウサギの日本固有亜種になります。
また、北海道の大雪山系・日高山脈・知床などの高標高帯の岩塊地(タロス/ロックタラス)に生息し、低温・多雪という厳しい生育環境に適応してきたがんばりやさんでもあるんです。
数万年前に北の方から移り住んできたと言い、氷河期の生き残りの動物だという話もあります。
成体は体長15–18 cmで、体重は200gほどしかありませんから、大人の人だったら両手で包み込めるぐらいの大きさですね。
またナキウサギは英語で「Pika(ピーカ)」と呼ばれ、ポケモンの代名詞であるピカチュウの語源のひとつである…という一説もあります。(ピカは電気のイメージ、というのが有力な説のようですが)

エゾナキウサギの生態・特徴
「ナキウサギ」って名前の由来、気になりませんか?
実は、エゾナキウサギは「キィッ!キュッ!」と特徴的な高い声で鳴くんです。ウサギが鳴くっていうのは、ちょっと意外ですよね。一般的に家庭でも飼育されるウサギには声帯がないため、犬や猫のように鳴くことはできません。でも、エゾナキウサギにとってこの鳴き声はとっても大切。
・仲間とのコミュニケーション手段
・縄張りを主張する行為
・危険を知らせる警告音
などの意味を持っていて、高山でのサバイバルには欠かせないスキルなんですね!
ちなみに、鳴き声は山登り中の人間にも聞こえることがあります。北海道の大雪山系で「キィィ!」と聞こえたら、そばにエゾナキウサギがいるかも?
また、エゾナキウサギは夏〜秋に草本類を刈り集めて「干し草」として住まいに貯め込み、冬眠せず越冬する“貯食型”の生態を持つ動物であることで知られます。
食べ物はもっぱら草類で、岩場の周りに生えている草葉や木の実、シダ類などを食べていきます。
ナキウサギは「岩ずまい/草原ずまい」の二型に大別されるのですが、エゾナキウサギは典型的な“岩ずまい”です。貯食は概ね7月開始、8~9月がピークという記載が多く、秋季の夜間活動増も報告されています。
岩と岩がごろごろと積み重なった「ガレ場」と呼ばれるような場所の岩穴に住まいを作り、その住まいはオコジョやキツネに狙われても逃げ込んで迷わせるような構造になっているようです。
住まいである岩穴は外気よりも低い温度になっており、高温環境が苦手なエゾナキウサギにとっては快適な環境です。
ちなみに、仲間とのコミュニケーションは鳴き声によって行われますが、行動は基本的に単独行動を取ります。
ただ面白いのが、オスメスのつがいが1つの縄張りを共有し維持していくという、「ペアなわばり」を持つ動物なんです!
詳細な生態はまだまだ未調査の部分が多いエゾナキウサギではありますが、現代に生きる私たち人間と同様に、「共働き」で頑張っている動物なのかもしれませんね。

エゾナキウサギが絶滅の危機に瀕している理由
勘違いする方もいるかもしれませんが、エゾナキウサギは“絶滅危惧種”ではなく最新の国レッドリストでは”準絶滅危惧種”に指定されています。
「準絶滅危惧種」とは、現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧種」に移行する可能性がある種、という定義になります。
では、なぜこの小さな生き物が絶滅の危機にあるのでしょうか?主な理由は以下の3点です。
地球温暖化による「寒冷地の減少」
エゾナキウサギは冷涼な気候を好む動物です。夏でも涼しい高山の岩場でしか生きられません。しかし近年、地球温暖化の影響で雪解けが早まり、植生などの生活環境が変化してしまっているのです。
つまり、気温が高まることで涼しい環境がどんどん山の上に押し上げられているのです。当然ですが山の高さには限界がありますから、地球温暖化によって逃げ場を失いつつあるエゾナキウサギたちは、じわじわと居場所を奪われているのです。
北海道大の研究では、岩の隙間などが暑熱から逃れうるマイクロレフュージア(避難小環境)として機能している実態が提示されています。
私は、エゾナキウサギが山頂に追い詰められるだけではなく、岩の隙間などの微地形が最後の避難所になってしまう可能性があると考えます。
当然ですがそのような空間は限られているため、気温上昇が続けばエゾナキウサギの生育分布が比例して縮小する、というのはもはや明白でしょう。
人間活動による生息地の分断
道路建設やリゾート開発などにより、エゾナキウサギの住処がバラバラに分断され、個体群同士の交流が減少していきます。
エゾナキウサギは岩場に生息する動物。そのような天然の岩場は限られており、林道の開発などでも簡単に生育環境が破壊されてしまうのです。
これが進むとエゾナキウサギの遺伝的多様性が低下し、種としての環境変化への適応力が落ちてしまうというリスクがあります。
2013年には、北海道新得町で行われるスキー場の開発によって「エゾナキウサギがすむ生態系が破壊される」ということで十勝自然保護協会や専門家が原告となり、「登別クマ牧場」で有名な加森開発(株)に対して、工事の中止を求める訴えを札幌地裁に起こしました。
…しかし、残念ながら札幌地裁は原告側の訴えを「却下」しました(2017年5月22日判決)。
訴えの内容は、北海道の開発行為許可の無効確認と工事差止め(国有林の使用許可も)を求めたものでしたが、裁判所は十勝自然保護協会や専門家に原告適格(その処分の無効を法的に争える立場があるか)を認めず却下したんですね。
つまり、本案(環境影響の中身)に入らないまま門前で退けられてしまった、ということになります。
行政関連の法規からすると理屈どおりなのだと思いますが、野生動物の保護という観点から考えると、考慮がなく冷たい結果に思えてしまいます。
この件は当事者のみならず、エゾナキウサギに関わりのある人にとっては今後のエゾナキウサギの保全に対してどのような方法があるのか、考えさせられる1件となりました。
外敵や人間の行動による生存の不安定化
自然界の捕食者(テン、キツネなど)に捕食されてしまったり、異常気象による食料不足が原因でエゾナキウサギの個体数が減少する年もあります。
さらに、大雪山国立公園のエゾナキウサギ個体群では、人の接近が警戒行動や鳴き行動を変化させる可能性を示したフィールド研究が出ています。
また近縁種(アメリカナキウサギ)では、ハイカー等の撹乱や高温日に採食時間が減る・行動が変わることが実験的に示されています。エゾナキウサギも生態は近似しているため、来訪者の増加や滞留は警戒・採食・鳴き行動に影響し得うると考えられています。
加えて、実地調査にてプラスチックやタバコと言った散乱ごみがエゾナキウサギの貯食空間(岩の隙間)に入り込んでいた事例も報告され、こういった散乱ごみの長期残存の懸念が示されています。
私たち人間の行動も改めなくてはいけませんね。

エゾナキウサギを飼うことはできる?
「こんなにかわいいなら、エゾナキウサギを飼ってみたい!」と思う方もいるかもしれません。でも、残念ながらエゾナキウサギをペットにすることはできません。
その理由は下記のとおりです。
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鳥獣保護管理法により、捕獲・飼育は原則禁止
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非常にデリケートな生態で、飼育環境の維持がとても困難
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狭いケージではストレスが溜まりやすく、温度管理が出来たとしても長生きできるか不明
日本では、野生鳥獣(鳥類・哺乳類)について無許可の捕獲・飼養は原則禁止としています。研究目的等の特別な許可・手続きを除き、個人が飼うことはできません。北海道庁も「原則として許可なく捕獲や飼育は禁止」と周知しており、当然ながら違反には罰則もあります。
つまり、エゾナキウサギは自然の中でこそ生きられる動物なのです。私たちがすべきことは「かわいいから飼う」ではなく、「かわいいから守る」こと。

どこでエゾナキウサギに会える?観察できるスポット
野生のエゾナキウサギに会えるチャンスがあるのは、やはり北海道の山岳地帯です。
中でも、以下のような山岳地帯が有力候補として挙げられます。
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大雪山系(黒岳、旭岳周辺)
ロープウェイ+リフトで稜線近くまでアクセス可能です。 - 然別湖(東大雪)エリア:駒止湖、白雲山、東ヌプカウシヌプリ
風穴の冷涼環境で標高の割に生息密度が高いエリア。登山道沿いのガレ場で“チュッ”という声が聞こえたら、すぐそばにエゾナキウサギがいるかも? -
十勝岳・望岳台(美瑛・白金温泉側)周辺
駐車場発の「望岳台自然探勝路」先の溶岩・ガレ地帯は有名。静かに腰を下ろして待つのがコツ。
ベストシーズン & 時間帯
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時期:8月後半〜10月前半(貯食で活動が増える)。
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時間帯:朝夕の涼しい時間は姿を見せやすいと言われます(現地ガイドや観察記の経験則)。
フィールドマナー
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登山道から外れない/岩塊地(タラス)に踏み込まない。 岩の隙間はエゾナキウサギの“貯食庫&避難所”。踏圧や覗き込みはストレスがかかるのでNGです。
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静かに“待つ”観察。 無理やり追いかけず、腰を下ろして双眼鏡でじっくり観察しましょう。しかし長居しすぎも良くありませんのでバランスを見て。
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ゴミはゼロに。 岩隙にプラスチックなどのごみが入り込むと長期残存し、生態影響の事例が学術報告されています。
持ち物のコツ
倍率が10倍前後の双眼鏡、軽量な折りたたみ座布団や、防寒・防風のためのシートや衣服が必須です。秋の高山は冷えますからね。
あと、ヒグマ対策グッズもしっかりと持っていくべきでしょう。エゾナキウサギ観察のための登山は決して初心者向けではないので、十分に情報収集と準備をして臨んでくださいね。
出典:https://www.youtube.com/watch?v=BVhcnIIori4
チャンネル名:Shinji kawamura 様
↑エゾナキウサギが鳴いたり動き回る姿を目にすることができる動画を見つけました。
こういった動画を観ると、北海道の大自然も身近に感じられますね。
エゾナキウサギの未来のために私たちができること
エゾナキウサギを飼育することはできない、観察は可能だけどなかなかハードルが高く感じる。
それでも、エゾナキウサギのためになることがしたい!
そんな風に思える、私も含めた一般人がエゾナキウサギを守るためにできることって何があるのでしょうか?
小さなことから始めよう!
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山に行くときは登山道を外れない、ロックタラスに入らない、滞在を長くしすぎない。
⇒つまり、生息地を荒らさないということですね。 -
ゴミは必ず持ち帰る(環境汚染を防ぐ)
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調査・普及に取り組むNPOや団体(例:ナキウサギふぁんくらぶ等)の活動を支援。またSNSで「かわいいね!絶滅しないでね!」と情報発信するだけでもOK。
特別なことは必要ありません。自然に優しくを心掛け、一般常識的なマナーやモラルを守れば、それがエゾナキウサギの保全に繋がるのです。

寄付・クラウドファンディングで支援
例えば、北海道で活動する環境保全団体では、ナキウサギの調査や保護活動を行っています。小額でも支援できる仕組みがあるので、ぜひ調べてみてください。
中でも代表的なものを取り上げますが、NPOである「ナキウサギふぁんくらぶ」は精力的に活動し、多くの方から好意的なイメージを持たれております。
・NPO「ナキウサギふぁんくらぶ」
1995年に発足。写真集やエコバッグなどの収益を保護活動へ充当しています。会報や普及啓発、署名活動(国の天然記念物指定の要望)を継続して行っており、3500名以上の会員数を誇ります。
…エゾナキウサギは、国の天然記念物として指定を受けていないんですね。今までナキウサギふぁんくらぶが7万筆以上の署名を集めたにも関わらず、その声は国にはあまり届いていないような印象です。
どうか、国も動いてくれますように。心から祈っております。

まとめ:この小さな命を、未来へつなごう
エゾナキウサギは、氷河期の名残とも言われる「生きた化石」です。そして、いわずもがな北海道の自然が生み出した奇跡のような存在です。
そのかわいさに癒やされるだけでなく、彼らが生きられる世界を守っていくことが、わたしたちの使命かもしれません。
もしこの記事で「エゾナキウサギ、応援したいな!」と思ったら、その気持ちがすでに第一歩です。
未来の山に、キィィィッという鳴き声が響き続けますように。




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